こんにちは。保育士の柳です。
ここを読んでくださっている方の中には、赤ちゃんの人見知りについてどうしたらいいのかなあ?と困っている方も多くいらっしゃるのではないかなと思います。
わからないことの多い、赤ちゃんの人見知り。
今回は、どうして人見知りをするの?人見知りにどう対応したらいいの?という人見知りに関する素朴な疑問をここで考えていきたいと思います。
まずは8ヶ月の赤ちゃん、みーちゃんの最近の成長の様子をみてみましょう。
生まれたばかりの頃は「ちゃんと育つかなあ?」と心配だったみーちゃんですが、最近ではハイハイも上手になり行動範囲が広がってきましたよ。
おすわりもしっかりできるようになり、座ってよく遊ぶようになりました。表情も豊かになって、きゃっきゃと笑う笑顔が可愛いみーちゃんです。
さて、今日は久しぶりに遠く離れているおじいちゃんやおばあちゃんに会いに行く日です♪
「あら〜。みーちゃん!大きくなったわねえ」
とおばあちゃんは会うなりニコニコ笑顔で、みーちゃんをさっと抱き上げました。
その瞬間、「ギャー!!」と火がついたように泣き出すみーちゃん。
まるでこの世の終わりか?というくらいの激しい泣き方です。
必死にママの方に手を伸ばして、助けて〜と言わんばかりの泣きっぷり。
やっとママに抱っこされて泣き止みますが、みーちゃんはまだしゃくりあげておばあちゃん・おじいちゃんを警戒している様子。
「あらー…前はあんなにニコニコして、抱っこされて喜んでくれてたのに…どうしたのかしら?」
おばあちゃんおじいちゃんは、残念そうな表情で言います。
ママとしては、せっかく可愛がってくれているおばあちゃん・おじいちゃんに申し訳ない気持ちになりますよね。
さらに、ちょっぴり自分の育て方を非難されているような気もします。
もう。どうして急に他の人に対して泣くようになってしまったのかしら?
さあここからは、赤ちゃんの[人見知り]について赤ちゃんの心の中を覗いてみましょう。
目次
1.人見知りはどうしてあるの?
ある日突然やってくる、人見知り。
今までは誰にでもニコニコと愛想をふりまいていたのに、どうして急に怖がったり泣くようになるのでしょうか?
1-1.記憶力との関係|人の認知と区別
生後6.7ヶ月くらいから赤ちゃんには記憶する力がだいぶついてきます。
いつも一緒にいる慣れている人(お母さんや家族)と、会ったことのない人や慣れていない人との区別がちゃんと付くようになるのです。
慣れている人か慣れていない人か大好きな人か違うのかという、人の認知と区別ができるようになります。
慣れていない人には[不安]を感じるという感情も育ってきます。
[人見知り]は記憶力がつき知恵がつき、賢くなったということ。また[不安・怖い]など感情が豊かに育っているという証拠でもあるんですね。
1-2.人見知りは愛着関係が築けている証
記憶力や感情の発達の他にも、人見知りでわかる赤ちゃんの心の成長があります。
それは、主にお母さんやお父さんとの愛着関係がしっかりと築けているということ。
・いつも一緒にいるお母さん・お父さん=安心できる人
という親子関係の図式がしっかり出来上がり、愛着関係がしっかり結べているから他の人を警戒したり怖がったりするのです。
だから人見知りが始まったら「ちゃんと育っているね、おめでとう!」とお祝いしたいくらいです♪
1-3.赤ちゃんの人見知りはいつから?
人見知りは賢くなった証拠で成長の証だとわかったら、「うちの子はまだかしら?」と人見知りの時期を心待ちにする方もいらっしゃるかもしれませんね。笑
人見知りの時期はもちろん個人差はありますが、早い子では6ヶ月くらい。はいはいをし始めたくらいの子から始まります。
一般的には人見知り=8ヶ月不安と言われるくらいなので、ピークは8ヶ月くらいです。
1-4.人見知りは赤ちゃんが初めて身につける人間関係|愛着行動
ハイハイで自分の好きな所へ移動できるようになった赤ちゃんは、自分の好きな人の所へ自分で選んでいくことができます。
このように好きな人の側に行こうとする行動を、愛着行動と言います。
愛着行動は、赤ちゃんが生まれて初めて身につける人間関係の第一歩と言われています。
1-4-1.ママにずっとべったり…トイレにまでついてくる
先ほど、はいはいで好きな人の所にいくことが愛着行動と言いました。ママが少しでも離れるとはいはいなどで追いすがってあと追いをします。
このようなあと追いは、積極的な愛着行動と呼ばれます。
この時期は、トイレのドアの向こう側で姿が消えたママが出てくるまで大泣きする赤ちゃんも多いですよね。
ママたちは「もう。トイレもゆっくり行けないよー…」とよく嘆いていますが、小学生になってもそんな風にあと追いをするなんて聞いたことはありませんよね。
期間限定だと割り切って「そんなにママが好きなのね♡」と、乗り切りましょう。笑
あと追いとは反対に、人見知りで知らない人や場所に大泣きするのは消極的な愛着行動といわれています。
どちらも大人からみると大変でやっかいなように見えますが、赤ちゃんにとっては大切な人間関係作りの第一歩なのですね。
1-5.パパにも人見知り!?
時々パパにも人見知りをする子もいます。パパとしては、可愛い我が子に泣かれると切ない気持ちになりますよね。
でも一日の大半を一緒に過ごす母親に比べたら一緒に過ごす時間が短いし、生まれる前のお腹の中でも母親と10ヶ月ずっと一緒にいた訳ですから、子どもにとって母親は絶対的な存在なのです。
パパへの人見知りは何年も続く訳ではないので、ずっと赤ちゃんとべったりのママをサポートしてあげてくださいね。
ママが笑顔でパパと会話をしている姿を、赤ちゃんはしっかり見いています。
次第に赤ちゃんは、ママが笑顔で話している相手なら大丈夫だとパパのことを安心できる人だと改めて分かるようになるのです。
パパさん、人見知りの時期が過ぎ去るまでファイトです♪
1-6.人見知りをしない子はだいじょうぶ?
あまり人見知りをしない子もいます。
そのような子は成長していないのかというと、そうではありません。
2.3歳になって始まる子もいれば、全く人見知りをしないように見える子もいます。
人見知りの表現が強い子と弱い子がいるのです。強い子はわかりやすく大泣きして、ママやパパにしがみつきますし、弱い子は泣かないけれどじっと様子を見たりします。
全ての子どもがわかりやすく人見知りをするとは限りません。人見知りをしないと成長しない、というわけではないのです。
1-7.人見知りはいつまで?
だんだんと知的な見通しが育ってくると、そばに親がいなくてもずっといないわけではなく帰ってくるものだと予見できるようになります。
先を見通せるようになるには個人差や性格もありますので一概には言えませんが、一般的には人見知りは2歳になる頃には落ち着くと言われています。
1-8.人見知りと自閉症
人見知りの出方には、強弱があるとお話ししましたね。
でも中には親の第六感であれ?おかしいかな?と感じる赤ちゃんもいます。
自閉症は療育的なサポートや研究も進んでいて、昔とは考え方も接し方も違います。
「まわりへの関心が極端に薄い」「抱っこなど肌の接触を嫌がる」「視線が合わない」など気になる傾向がありましたら、医師に相談してみてくださいね。
2.赤ちゃんの人見知り対策
人見知りが成長の証だとわかっていても、あまりにも赤ちゃんに泣かれると切なくなりますよね。必要以上に赤ちゃんを怖がらせたりしないためにも、大人ができる対策についてご紹介しますね。
まずは、よくママたちから受ける人見知りに関する質問をご紹介します。
2-1.「うちの子、2歳を過ぎてるのにまだ人見知りをするんです。だいじょうぶ?」
大きくなってきても人見知りの強い子は、恥ずかしがり屋さんだったり引っ込み思案だったりするのかもしれませんね。例えば、こんな場面では親としてどう対応しますか?
自分ならどうするかな?と一緒に考えてみてくださいね。
『近所の人に道でばったり会いました。相手は「こんにちは」と子どもにも挨拶をしてくれているのに、我が子は後ろに隠れてモジモジ。挨拶もしません。
ちゃんと挨拶をさせたいのにな…。こんな時、あなたならどうしますか?』
Aママ:あいさつはきちんとするべき。
「ほら!前に出てごあいさつしなさい。こんにちはって言えるでしょ?」と、前に出してがんばってあいさつさせようとする。
Bママ:「こんにちは」とまずあいさつしてから、相手の方に「すみません。この子、少し人見知りするので。いつもは元気いっぱいなんですけれど。」と説明する。
子どもに無理にあいさつをさせようとしない。
いかがでしたか?
Aママの「ちゃんとあいさつできる子に育てたい」という気持ちは、親なら誰でも持っていると思います。
でも人見知りっ子は、相手と近づけようと無理強いすると親にも不信感を持ちますし、ますます人見知りが激しくなるかもしれません。
「自分はダメな子なんだ…」としなくてもいい自己否定感を持たせてしまい、自信のない子どもになってしまいます。
Bママのようにまずは自分があいさつをして、相手の方には子どもの状況をさらっと伝えて失礼のないようにすれば、誰も嫌な気持ちにならずに済むかもしれませんね。
その子の個性を認めてあげた上で、親が積極的に周りに元気にあいさつをしていれば、子どもも自然に親の姿を見て挨拶をするようになります。
周りの子がハキハキと挨拶をしている姿を見ると、親として焦ってしまう気持ちもわかります。でも他の子と比べてもいいことはありません。
大人でも積極的な人やおとなしい人など、性格・個性がありますよね。
この子はこのような個性なのだな♪と長所に注目して受け止めてあげてくださいね。
人見知りをするおとなしい子は、観察力が飛び抜けて素晴らしかったり冷静に分析する力を持っていたりします。
2-2.人見知りの対策
それでは人見知りが始まった子どもに、周りの大人はどのように接していけばよいのでしょうか?
具体的な対処法をみてみましょう
2-2-1.初対面や久しぶりに会うときは、いきなり抱っこしない
冒頭に出てきた人見知りが始まったみーちゃんは、いきなり久しぶりに会ったおばあちゃんに抱き上げられてびっくりして大泣きしました。
赤ちゃんの表情や様子を見ながら、慣れてきたかなというタイミングで「抱っこさせてね」とひと言声をかけてから抱っこする。
2-2-2.相手に人見知りについて事前に伝えておく
おばあちゃん・おじいちゃんや久しぶりに会う人には、事前に人見知りの時期だということを伝えておきましょう。
赤ちゃんに大泣きされると、大人でもショックなものですよね。特に可愛い孫ならなおさらです。
事前に話しておけば、急に抱き上げて赤ちゃんをびっくりさせてしまうことも無くなりますね。
2-2-3無理に人見知りを克服しようとしない
ここまでお話したように、人見知りは心が育ってきた成長の証です。
子どもなりに「この人はだいじょうぶ」「ママがいなくてもだいじょうぶ」と、自分で判断できる時が来ますので、焦らずに待ちましょう。
2-2-4.人見知りする相手と仲良くお話する様子を見せる
子どもは、大好きなママが楽しそうに話している相手なら怖くないかな?だいじょうぶかな?と安心します。
1回や2回では無理でも、次第に相手にも慣れていくはずです。
2-2-5.人が多く集まる会では、早めに到着しておく
健診や習い事、親子の集まりなど大勢の人が集まる場に行く時は、早めに到着するようにすると良いです。
早めに会場に到着していれば、催しが始まるまでその場に早めに慣れることができます。
人が大勢集まっているところに後から入ると場の雰囲気に圧倒されてしまいますが、始めからその場にいて徐々に人が増えていくと、慣れるのも早いです。
まとめ
大人にとっては困ったように映る人見知りは、成長の証だとお話してきました。
人見知りからみえてくる、子どもの大きな育ちとしては、大きく次の2つです。
1.記憶力が育ち、人の認知と区別ができるようになった
2.人間関係の基礎である、愛着関係がしっかり築けている
人見知りは、豊かに生きていくための能力が育ってきているという証拠です。
人見知りが始まったら、寝返り記念日やあんよ記念日のように人見知り記念日が欲しいくらいです。
「人見知りスタートおめでとう!」と拍手をしてお祝いをしてもいいかもしれません♪
これから人見知りで泣く冒頭のみーちゃんのような赤ちゃんと会ったら、「うるさいなあ〜」ではなく、「人見知りなの?おめでとう!」とみんなであたたかい目で見る世の中になったらいいなと願っています。
おうち子ども教室♡いちご組
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